バイノーラル録音。 [audio]
前回の記事で、5.1サラウンドやDTSなどが素晴らしいという話をしました。
時代は進化し続けていて、7.1chサラウンドも、新しいサラウンドアンプでは対応してきているという話も出させて頂きました。
これらの技術は素晴らしいものだと思います。
その一方で、もう、ずいぶん古くからある、スグレモノの技術でありながら、世の中にあまり知られていない、あるいは、あまり広まっていない技術もあります。その一つの例として、また、前回の記事に関連した技術として、バイノーラル録音について少しだけ書いておきたくなりました。
バイノーラル録音は、人の形をした人形?の耳の部分にマイクをセットして録音されます。
基本的に、それだけです。
録音の信号は、「右」と「左」の2chだけです。
とてもシンプルです。
バイノーラル録音の「驚くべき効果」を実感するためには、イヤホンかヘッドフォンが必要になります。これが、世の中に、この技術が広まらない一番のネックになっているポイントなのだろうと、私は推察しています。
バイノーラル録音を経験した方なら、その驚きの世界を御存知だと思います。
未経験の方のために書かせて頂くきますと、バイノーラル録音されたソースを、ヘッドフォンかイヤフォンで聴きますと、前後左右、もしかすると上下の音の広がりがありありと感じられるのです。
実験的なバイノーラル録音の体験版では、人が話をしながら、自分のまわりを回ってくれたりします。
この場合、本当に、ありありと、人が、自分の周囲を話をしながら回ってくれているのを感じます。その人の足音もきこえてきます。目を閉じると、まるで、本当に、床が変わって、人が自分のまわりを回りながら話をしてくれている感じになります。
また、その驚異的効果を実感させてくれるソフトで、様々な楽器が、自分の前後左右に広がって音を聴かせてくれるというものもあります。
あるいは、ある楽器がひゅんひゅんいろいろ飛び回って音楽を聴かせてくれたりも。
はじめて経験される方は、かなり驚いたりされると思います。
ネット上で、バイノーラル録音について検索をかけると、サンプル音源や、あまり数はないですが、市販のCDなどを手に入れることもできるかと思います。
ということで、たった2chの音源なのですが、バイノーラル録音は、通常ではなかなか体験できない世界を垣間見せてくれる技術です。
とても可能性を秘めている技術なので、バイノーラル録音の癒し系ソフトやエンターテイメント的ソフトが増えるといいなぁと思えます。
例えば、森林の中を静かに散歩する体験ができるソフトとか、とても出して欲しい気がします。
もしそのようなソフトがあると、まるで自分が大自然の中、サクサクとゆっくり散歩しながら森林の散策を楽しむ疑似体験ができる訳です。サクサクと足音が、まるで自分の足音のようにきこえ、小川のせせらぎが近づいてくる。森の様々なところから、小鳥のさえずりが聞こえてくる。また、時折、木々の合間を通り過ぎてゆく風の音も聞こえてくる。想像するだけでも、そういうソフトが欲しくなります。
あるいは、ジェットコースターを疑似体験できるソフトなんかも面白いかも知れません。
と、バイノーラル録音について、徒然に書いてみましたが、はじめの方に書いたように、この技術は、世の中において、マイナーなままであり続けているように感じます。ちょっと残念です。
その一方、ドルビーサラウンドや、DTS、THXかな?、などの技術は、ハリウッドでメジャーになり、日本のアニメなどでも常識になりつつあります。
確かに、スーパーウーハーが加わることで、地響き感、大きなものが動くときに発生する空気のうごめき感の表現などにより、作品をありありとより現実感をもって、その世界にいるような感覚を味わうことができます。
こちらの方がメジャーになり、次々にAVアンプが新しくなってゆくのも仕方のないこととも思えます。
そして、それはそれで、魅力的であり、嬉しいことでもありますが、自分の家でそれらを体験でき、楽しめるようにするためには、それなりの出費と、ケーブルの配線などのややこしい問題が出てきますね。また、それなりに広い部屋も欲しくなるのかも知れません。
それでも魅力的であります。
いずれにせよ、様々な体験をできることは、素晴らしいことだと思います。
例えそれが、疑似体験であっても、そこにありありとした臨場感が感じられることによって、疑似体験が本物の体験に近くなります。
そもそも、私達が生まれてきているのは、様々な楽しみ苦しみを体験するために生まれてきている訳ですが、日常の中で体験できることは、どうしても限られてくる面も多いです。そういった、様々な制約を乗り越えて、日常ではとても体験することが難しいことを、よりリアリティがある形で体験できるようになることは、基本的にはよいことだと思えます。
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